図書館をもっと身近に!画期的な取り組みから生まれる学生と本との新たな出会い/東北芸術工科大学図書館

インタビュー

図書館紹介2024
本館北側に隣接する大学図書館

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学生からの人気も高い多彩な企画展示

――はじめに本学図書館の特徴を教えてください

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本がずらりと並んでいて、見ているだけでワクワクする図書館の風景

――そういったジャンルのものが揃っていると、「本を閲覧したい」という一般の方も結構いらっしゃるのでは?

そうですね。時々問い合わせをいただきますし、山形県内だけでなく東京や横浜から浅田文庫を見に来られる方もいらっしゃいます。浅田文庫というのは、1960年頃に活躍した浅田孝氏という建築家のご遺族から譲り受けた約3千冊の蔵書のことで、今ではなかなか手に入らないような資料なども多くあるので、たまに海外の方からも問い合わせをいただくことがあります。それから、本学で指導されている教職員の方々についても、情報を集めて著書などを購入するようにしています。学生さんにはぜひ先生方の業績を知っていただきたいので。

――普段はどういった学生たちが主に図書館を利用していますか?

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第2閲覧室は移動書架となっていて、様々な分野の資料が集まっている

――館内には自習スペースも多く確保されていますね

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2階の閲覧?学習エリア
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奥には自販機スペースもあり、休憩しながら作業に取り組める

――そんな様々な使い方がある図書館ですが、テーマに関連した本を特集する「企画展示」にとても力を入れていると伺いました

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『ローカルの磁場へ』『漫画世界』『スキルアップデッサン』など複数の企画展示が開催されている本棚
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館内にある企画展示の位置情報を示すマップ
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展示されている本の中には、学生が紹介したのをきっかけに入荷された本もあるんだとか

――マンガも閲覧可能なんですね

学生であれば借りることも可能です。そんなにたくさんはないですけど、学生からのニーズに合わせて名作と言われるような『AKIRA』だったり手塚治虫氏のマンガだったり、卒業生の藤本タツキさんが描いているマンガも少しずつ増やしているところです。あとは美大を舞台にした『ブルーピリオド』なども人気ですね。

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――企画展示のテーマはいつもどのようにして決めていますか?

基本的には学校行事とリンクしているようなもの、それから学生や教職員が関わっているイベントに合わせて企画することが多いですね。例えば学生がポスターデザインやスタッフとして関わっている『山形国際ドキュメンタリー映画祭』関連の展示だったり、先日まで天童市美術館で行われていたアルフォンス?ミュシャの展示に本学が関わっていたということでそれに絡んだ展示をしたり。あとは季節に絡んだ企画テーマを設けることも多いです。怖い本の企画を夏に展開したり、雪が降る季節は冬ごもりの本を特集してみたり。

――そういった企画展示を始めたのはいつ頃から?

活発に展開するようになったのは2014年ぐらいからと記憶しています。現在はいろんな企画が7~8個同時に進行しているような状況ですね。ここには図書館員が7名いるんですけど、いつも一つのテーマに対してイメージする本がそれぞれ全然違うんです。なのでテーマにすごく広がりが生まれて、お互い「え、こんな本あったの!?」とか「その本、どこから持ってきたの!?」みたいなことがよく起こります(笑)。

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普段はなかなか見る機会がないかもしれない「土」をテーマにした企画展示
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図書館員それぞれが選書した本が集まり、1つのコーナーが作られている

――なぜ2014年頃から活発化していったのでしょう?

おそらくですが、本の利用が2014年をピークに減ってきているので、その頃から“見せる展示”というものを少しずつ工夫していったんだと思います。特に意識していたわけではないんですが、今思うと図書館のあり方というのをいろいろ考え始めた時期だったんじゃないかな、と。インターネットが流行して、娯楽もどんどん増えて、世の中が「本だけじゃない」というふうになっていましたから。

ここ2~3年は私たちも企画展示に向けて加速している感じで、やればやった分だけたくさん反応が返ってくるので、やっぱり豊かな感性を持つ学生さんがすごく多いんだなというのを実感しています。書架に並んでいるだけでは分かりにくい本でも、企画展示を通して目に見える場所に置くことで手に取ってもらえるようになるので、これからもぜひ続けていきたいと思います。

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イベントを通じた図書館への入口づくり

――図書館から文化発信を行う『Open Library』という取り組みにも力を入れているそうですね

教員で構成された図書館検討部会(部長:吉田朗教授/基盤教育研究センター長)というワーキンググループ発案のもと始まりました。イメージとしては名前の通り、図書館の中だけで完結するのではなくそこから外へ出て行こう、図書館を外に開いていこうというもので、多くの学生さんに図書館のことを知ってもらえるよういろんな企画やイベントを行いながら、関わりを持ってくれる人を増やす活動を続けています。

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「放課後らくご」の様子
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図書館内の関連本紹介コーナー

さらに図書館を外に開いていくためのイベントとして、『ひと箱古本市』を図書館前の通路で不定期開催しています。これは0円から100円までの安価な価格幅で学生に古本を販売するというもので、前回は教職員の方々や学長にもお越しいただき大変な賑わいになりました。

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お昼時に本を通して様々なコミュニケーションが起こる『ひと箱古本市』
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中山学長の出店ブースにも多くの学生が

図書館員としてエプロンをつけてカウンターにいる時はすごくかしこまった感じで声をかけてくるような学生たちが、古本市ではすごく積極的に話しかけてくれて、同じ本が好きという話題で一緒に盛り上がるなど、立場の垣根を越えた交流が生まれています。学生さんも「楽しかった」と言葉で伝えに来てくれるので、私たちもとても楽しく続けられています。

――“図書館は静かにしなければならない場所”という感覚があるからこそ、学生もついかしこまってしまうのかもしれませんね

だからこそ図書館をそうやって外に開くことで、学生側にもこちら側にも開放感みたいなものが生まれるのかもしれません。

――学生たちに期待することや今後の図書館のあり方について、何か考えていることがあれば教えてください

「15万冊もあると何を選んだらいいか分からない」という学生さんは多いと思います。それでもイベントを入口に図書館の中へ入ってきてもらえている実感はあって、一時的な関心にとどまらず継続的に図書館と接点を持ってくれるきっかけになっていると感じます。最終的には学生さんの方から「こんな企画どうですか?」と提案してもらえるようになったら嬉しいですし、図書館を通していろんなスキルや才能を発揮していってもらいたいですね。

あと、棚に入ったまま見過ごされている本ってたくさんあるんですけど、そういう本に触れる機会を増やすことも私たちの役割だと思っています。本と出会うことでその学生さんにいろんなものが生まれることを想像すると、やはり私たちももっともっとその魅力を伝えていきたいなと。大学の中にある一つの施設として、授業や滚球体育との連携を大切にしながら、学生さんの学びを1年生のうちから支えられるような場所にしていきたいです。

本との出会いを作る、という意味ではちょうど『福袋』といって、例えば“旅の本”とか“徹夜本”といった感じで、テーマ別に5冊から10冊くらいの本をタイトルが見えないように袋の中に入れて、年末年始に貸し出すイベントを企画しているところです。今年の7月にも10テーマくらい並べたら、結構皆さんに借りてもらえて好評でした。学生さんには、こうしたイベントも楽しみにしていただければと思います。

――ちなみに今後開催してみたい企画やイベントなどはありますか?

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T.I.Pメンバーが作品と本を展示した「T.I.P LIBRARY」の様子
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図書館2階のメディアコーナー
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シアタールーム

――それでは最後に学生へ向けてメッセージをお願いします

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一人一人に学習の機会や学びの場所を提供したい―。8時45分から21時という長時間開館にはそんな思いが込められていると言います。学生にとってワクワクしたり、新しい何かを得られたり、また時に安らぎを感じられるような居場所が学内にあるというのは、4年間の滚球体育を過ごす上でとても大きな支えとなるはず。「本の貸出冊数につなげたいというよりは、まず図書館のことを学生さんに知ってもらいたい、関わってもらいたいという思いで企画展示やイベントに取り組んでいます」と話してくださった図書館員の皆さん。多彩な企画やイベントを通じて出会った1冊が、もしかしたら滚球体育、引いてはこれからの人生をより楽しいものに変えてくれるかもしれません。図書館の枠を越え、本と人とを結ぶ図書館にぜひ足をお運びください。

(取材:渡辺志織)

東北芸術工科大学 図書館

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東北芸術工科大学 広報担当
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