建築?環境デザイン学科Department of Architecture and Environmental Design

[最優秀賞]
山田晏璃|余剰熱に集う
山形県出身
加藤優一ゼミ

この作品は、余剰熱を地域で使いこなす新たなインフラストラクチャーの提案である。山形県真室川町の製材所では、廃棄される樹皮を燃料に温水を作ることで木材乾燥を行っていたが、その多くが未活用であった。そこで余剰熱を町に循環させると共に、さまざまな用途に拡張可能な構造を持つ「温水連絡橋」をはじめとした建築を提案し、余剰熱に関心のある人たちの創意工夫によって活用の幅が広がる”族”としてのあり方を描く。


加藤優一 専任講師 評
本作品は、製材所の余剰熱を活用し、雪国の暮らしを暖かく支える、新たなインフラの提案である。計画地の真室川町は「特別豪雪地帯」に指定され、冬季の暮らしは厳しさを極める。一方で、豊かな森林資源に恵まれ、住民は自らの手で暮らしをつくる力を育んできた。藁細工や雪囲いなどの手仕事文化は、現代にも受け継がれている。山田君は当初、山形の自然環境を体験できる温浴施設を構想していたが、新しい施設の必要性に疑問を抱き、既存資源の活用を模索する中で「庄司製材所」と出会う。この製材所では、樹皮を燃やして生まれる熱を木材乾燥に利用していたが、その多くが未活用のままだった。彼が設計した「温水連絡橋」は、余剰熱を地域に循環させるとともに、様々な用途に展開できる構造を持つ。冬でも快適な通路兼店舗、温室菜園やサウナ、高床式住居など、住民の創意工夫によって活用の幅が広がっていく。また、雪割棟を採用することで積雪に対応し、エネルギーの流れを可視化することで、地域を明るく照らす存在となる。雪国の暮らしを前向きに捉え、地域資源を建築へと昇華させた点を高く評価したい。