[優秀賞]
今野雅也|在るところの淵藪
秋田県出身
渡邉吉太ゼミ
私には、亡くなった大工の祖父との思い出が詰まった場所がある。その個人と場所の局所的な繋がりを場所性とし、そこから導き出されたマテリアルを空間的CMFに応用することを試みた。これは私個人の一例に過ぎず、人によりその姿形は変化する。そこには大切な場所と離れたとしても、その場所とカタチを通した繋がりがあり、デザインとしての価値があると信じている。
渡邉吉太 教授 評
「コンセプトなんか、後付けすればいい。何がしたいのかが一番大切」?と、君が後輩にアドバイスする姿は、まるで自分の生き写しのように感じられました。
デザインのDNAは確かに存在する。
雅也と共に学んだ四年間が、僕にそう確信させてくれました。
一方で、自分の身体を削るようにしてものを生み出す泥臭さは、僕が持ち合わせていないものです。雅也を雅也たらしめる、火傷の跡のついた手の甲と真っ黒になった掌は、君が自らに刻み、勝ち取った自分らしさです。
祖父の死をきっかけに始まったこの研究は、極めてパーソナルな、しかし誰しもが持つ、場所の精神性に迫るものです。師弟の美意識の遺伝と、祖孫の肉体的、精神的な繋がりを顕現させた、学科の新たな金字塔と呼べる作品になりました。きっと後輩たちも、この後に続いていくことでしょう。
この活躍を、心から誇らしく思います。
優秀賞、おめでとう。