歴史遺産学科Department of Historic Heritage

髙橋望|用途不明骨角器の分類 -遊佐町小山崎遺跡資料を中心に-
山形県出身
青野友哉ゼミ

目 次 はじめに/研究史と研究対象の概要/調査?分析/結果と考察/おわりに

 筆者の出身地である山形県飽海郡遊佐町は、日本海と鳥海山に囲まれ、水資源が豊かな土地柄である。そのため、縄文時代から人々が生活を営んでおり、考古資料が多数出土している。遊佐町埋蔵文化調査室では、当地所在の遺跡の資料を保管、展示がなされており、その中には骨角製のヘアーピンなどの装身具や銛頭などの生活用具とともに用途不明の骨角器があった。
 本研究では遊佐町小山崎遺跡から出土した骨角器の中でも用途不明の資料を対象とし、他地域の遺跡出土資料と比較を行う。そして、その用途についての考察を行う。当遺跡は、縄文時代早期から晩期までの長期間にわたり生活が営まれてきた遺跡であり、1995年~2011年までの間に18回も調査が行われてきた。
 骨角器とは動物の骨、歯、角、貝殻を素材として作られた道具の総称で、日本全国の遺跡で出土している。金子?忍沢は1986年に『骨角器の研究』を編纂し、全国の遺跡から出土した骨角器の集成と分類を行った。そのうち、小山崎遺跡資料の用途として検討可能と考えられる骨角器の種類を図1に示した。今回対象とする「用途不明品」は、当書籍のモースの大森貝塚発掘調査の部分で登場する。この時出土した資料を、1983年に佐藤?佐原が再分類を行った。検討の際は、2007年に会田が実験研究を行い、骨角器の製作過程から明らかにすることも重要であると述べている。
 小山崎遺跡出土の用途不明骨角器は1次、12次、18次調査の際に出土しており、遊佐町埋蔵文化財調査室が所蔵している。この資料は1次資料の一部以外未報告品である。比較資料として、北海道?東北地方の遺跡、計179 資料を収集し、これらを集成表にまとめた。資料の種類は、用途不明品だけでなく、製品、未完成品、廃材を収集し、これらのうち小山崎遺跡資料と類似する資料を、形状などから比較を行った。 図2 には実際に実測と観察を行った小山崎遺跡の特徴と、類似資料と比較した結果、検討可能である用途を示している。
 今回『骨角器の研究』や他遺跡出土資料の形態などでの比較を行い、一部の用途について検討することができた。しかし、形態から判断することはやはり難しいものであったため、会田の論の通り、製作などの実験研究や、その過程でできた痕跡の詳しい観察などを組み合わせることで、より確かな用途の検討を行える実験研究が有効であるという考察に至った。

1. 『骨角器の研究』引用資料

2. 小山崎遺跡資料一覧と結果

3.小山崎遺跡資料2の比較図(ヘラ)