浅野百花|多角的なまちづくりを実現させる分析ツールの研究?-日常生活で取り戻せ、ソーシャルメディアとしての商店街-
宮城県出身
吉田朗ゼミ
現在、日本各地で様々な地方創生の動きがある。しかし、その方法は、「イベントによって各地から客を集め、より多くの人に商品?土地の価値を認めさせる」という「ハレの日」を作る構図に偏っているように感じられる。裏を返せば、日頃の産業活動や人々の日常生活、生活環境など「ケの日」を充実させるような場作りへの注目が少ないということになる。昨今の集客イベントに勤しむ地方のまちづくりの様子は、そのまちの「ケの日において人々が営む過程」を疎かにしているように感じられ、疑問を呈するものであった。そこで、以下二つの仮説を立証する論理的なまち分析のツールを開発し、対象地域にある空き店舗にて検証活動として住民を巻き込んでツールを展開することでツールの実用性と明快性を向上させることを本研究の目的とした。
仮説①まちは日常的な営みと、その延長にある非日常的な行事が、脈絡を持ってバランスよく成り立つことで芯から豊かに発展する
仮説②商店街が衰退した状況を改善するためには、ソーシャルメディアとしての機能を重視したまちづくりが行われる必要がある。
対象地域は、地元である宮城県大崎市鹿島台地域の駅前商店街といわれる区域である。
研究の結果、作成した分析ツールは、住民の生活需要とまちの状況把握を多角的な視点で行いやすくする効果を発揮した。よって仮説①をもってまちづくりを考える手法は、豊かなまちを考える事に対して有効であると言える結果となった。また、ツールを使って作られたまちづくり方針は、商店を使った経済行動と売買以外の要素で成り立つ行動が両方誘発されるものが多かった。よって仮説②の内容が示される結果となり、そうすることで既存の商店街構造を生かした状態でまちを再興することが可能になると示すことができた。 一方で検証活動を通し、まずは対象地域のような地方商店街で空き店舗活用を実行することにおける課題を、深く理解することができた。そしてツールの実用性と明快性を向上させる目的の達成度に関しては、第二段階で打ち出した様々な検証活動によって、人々の意見を反映しながら結果を導き出すことができたという成果を得た。今後の課題としては、住民がより自分事として興味を持ってまちの状態を捉えられるような機会を提供することが挙げられる。その中で本研究の分析ツールに住民が触れていくことが、さらなるツールの実用性に繋がると言える。