歴史遺産学科Department of Historic Heritage

小山三四郎|秋保と都市を繋ぐもの─秋運電鉄の事例を参考に─
宮城県出身
志村直愛ゼミ

目次 秋保の歴史/他地域との比較/考察

 日本の観光に関した歴史には様々な移動手段が登場する。現在宮城県仙台市南西部に位置する観光地である秋保にはバスやタクシーといった車両で赴くことが主な手段となっている。昨今ではレトロ文化などの過去のもの再び脚光を浴びるケースが見られることがあり、本研究では交通手段に関して廃線となった秋保の電車「秋保電鉄」を対象とし、現在での観光路線としての需要と復活の可能性を他地域の電車の事例から可能性を探っていきたい。(図1)近年では新しいホテルや旅館、既に他の地域で旅館を経営している他社の参入も秋保地域では増えてきており、カナダ人の旧旅館を利用した民宿も 2020年に参入するなど、減少する人口と相反して周辺施設が充実しているなど外部の観光客や事業所に諸々依存しているような地域であるとも言える。そのため、高齢化やそれに伴う地域住民の減少による影響をさほど考慮せずとも、現在で蘇らせた上での運行は可能かと言った部分では可能性のひとつとして数えられるのではないだろうか。
 廃線した秋保電鉄の復活の可能性についてだが、これについて先行研究は確認できなかったため比較による地域性、各種条件などを踏まえた上で、秋保自体の観光地としての需要を宮城県のデータなどを参考としながらの考察となる。これにより秋保地域、ひいては宮城県の観光地がこれからの観光業界においてどのような変化が可能であるのかの一例として提案できればと考えている。(図2)
 秋保電鉄についてだが、こちらは廃線が1961年であるため旧路線が焼失しており、復活の可能性の提案をするとすれば新たな路線の敷設や各種設備の充実など膨大なコストが必要となることが想定される。なお私鉄の復活については旧車両を利用したツアーなど様々な地域で検討されているが、大手私鉄やJR4社などの老朽化や輸送人員不足などを長い期間廃線せずに耐えることのできる会社が保持、補助していることが前提と思われる。

1.秋保電鉄閉業式

2.観光課観光統計概要