[優秀賞]
大塚圭一郎|オレノ茶碗
栃木県出身
深井聡一郎ゼミ
深井聡一郎 教授 評
絵画では模写、彫刻では模刻、陶芸では写しと過去の名作をなぞり、写し取り、何かを学ぼうという姿勢は、自身の表現の現在地点を知る為だったり、制作していく中で露頭に迷ったりした時に有効な手段だと、常々思ってきた。
一歩間違えるとただの模倣になりがちなそれらも、ある地点を超えた瞬間、模倣ではなく確固たる個となるだろう。
ある地点とは何か。作者が対象を見つめ、語り合い、その声を聞き取り、当時の制作者が憑依したかの様に時代を超えた世界と共鳴した時だ。
大塚圭一郎は益子の窯元に生まれた。オープンキャンパスとは別の時期に本学を見学に来た時、グラウンドの片隅にある薪窯を見て、その場で受験を決めた。入学後は名碗にのめり込み、それらが名碗たる所以を体感するかの様に求め続けた。
ある地点を超えた先に見える世界を、これからも追い求める事が出来るか。出来れば大塚圭一郎は確固たる個となることができるだろう。