[優秀賞]
遠藤悠|可動産建築の可能性と模索
宮城県出身
佐藤充ゼミ
1800×650×1700
佐藤充 准教授 評
住宅は、地球に固定され、住人を土地に縛り付ける。遠藤は、「基礎などで固定せず、移動することが可能な、最低限生活行為が行える土地に対する定着度の低い空間」を「可動産建築」と定義し、「可動産建築」は、人間を土地から開放し、その先にさらに豊かな生活があると考えた。移動する空間である自動車は所有する際、車庫証明を必要とする。これは、自動車であっても住所を得ることに等しく、土地から開放されているとは言えない。そこで、限りなく土地に対する定着度の低い「可動産建築」を追求した結果、ミニカー登録を行った3輪原動機付自転車に居住空間を載せた「原付ハウス」にたどり着く。そして、実際にこれを作り旅に出た。
新しい挑戦の前には、常に規制の壁が立ちはだかる。旅は、思いのほか自由ではなく、むしろ不自由であった。本作品は、自由を求め社会の規制に立ち向かった「可動産建築」での生活のドキュメントであり、そこから見えてきた未来の風景を示唆している。