[優秀賞]
戸田巽|許容と共有
山形県出身
佐藤充ゼミ
700×900×1400
佐藤充 准教授 評
「スケールとは何なのか?」について探究してゆくなかで、戸田は、「人のスケール」という新たな概念を導き出した。「人のスケール」とは、これまでの建築のように考えつくされた設計において生み出された空間ではなく、その時々の身体的環境把握により必要に応じて生み出された、終わることのない即興的な空間また、その行為自体である。
脚本家が、その場で起こりうるストーリーを書き、そして、演者がそれを演じるなかでアドリブによってさらに物語が展開していくように、建築家は、牛舎の空間を読みクライアントの要望(物語)をラフに空間化する、既存牛舎と建築家によってつくられた空間のスケール、そして、大人と子供、さらにはそこに生きるすべての動植物のスケールが衝突したところに、太陽、雨、風、建材の劣化といった時間的スケールが重なりアドリブが展開する。このように建築家とすべての生物、環境の掛け合いによって動き続ける終わりなき建築である。