[優秀賞]
江沼美佑紀|1984+39
宮城県出身
近藤一弥ゼミ
“1984”というジョージ?オーウェルの小説をもとにポスターを39点制作しました。オーウェルは1949年に小説を書き上げ、舞台となっている1984年を統制されたディストピアの世界と予想しています。実際の1984年はオーウェルの予想ほど完璧な全体主義になってはいなかったようですが、現在もなお大きな力による支配は進んでいるように感じます。何年経っても社会の仕組みは変わっていないのだと気づかされます。
近藤一弥 教授 評
江沼さんは、彼女なりに「世界全体が不穏な時代に突入しつつある」と感じているようです。そのような中、オーウェルの小説『1984』との出会いが背中を押してくれました。いつまでも無くなりそうもない「監視、検閲、洗脳」の世界。しかし今、これに対して従来のプロパガンダ的なグラフィックの手法を用いても、意味がありません。
ところで、グラフィックデザインの世界もまた、時代の流れの中で地殻変動が生じています。90年代クラブカルチャーのデザインを巧みに読みかえた韓国を中心とするアイドルグループやコスメなど、Z世代に支持されるデザイン。その流れの中で持たれる「Y2K」(2000年代)をベースとする新たなデザイン。文字通り2000年に生まれた彼女は、その扉を開くことに挑戦しました。