[優秀賞]
笹原未紅|共に生きる
山形県出身
岩井天志ゼミ
映画
こども芸大に通っていた5歳の頃、野菜作りを教えてくれた有機農家の伊藤さん。大学生になり、改めて関わる中で、紡ぐ言葉に魅了されました。伊藤さんの見ている風景、向き合っているいのち、実り溢れる日々の循環はとても美しく尊いものです。これからの社会へ、少しの追い風になればと思います。
岩井天志 教授 評
監督の笹原未紅とこの作品の被写体である有機農家の伊藤利彦さんとの出会いは17年前に遡る。当時5歳だった笹原は伊藤さんからこども芸大で有機農法による野菜づくりや養鶏でいのちについて学んだ。そこから伊藤さんと交友を深め、遊びに行っては様々な話を聞き、その言葉に打たれ、やがて恩師のような存在となっていった。大学生になり映像を学び始めると自然に伊藤さんへカメラを向けるようになった。?
「共に生きる」は二人の時間の蓄積と関係性がベースにあり、伊藤さんの生き方や日々の営みを色んな人に知って欲しいという笹原の気持ちを映した映画である。平飼いによる養鶏とその糞を養分に野菜を育てる循環型有機農業を営む伊藤さんの姿は無駄がなく美しい。子供たちに鶏の絞め方を教え、いのちをいただくことの大切さを体験させる。この作品から自然やいのちは全て生きとし生けるものの循環の上に成り立っていることを学ぶ。?
笹原がこの作品をつくったことはとても意味のあるものである。?
卒業後、彼女は佐渡島に渡り世界的な太鼓芸能集団『鼓童』の門下生に入る。5歳の時から17年間続けた太鼓の世界で生きることを決めた。とてつもなく厳しい世界に足を踏み入れることになるが、彼女ならやり抜くだろう。?
数年後、『鼓童』のメンバーとなって山形で公演を観られることを楽しみにしている。?