[最優秀賞]
佐藤紘朗|P-BOYイズム
岩手県出身
吉賀伸ゼミ
アクリリックワン(水性樹脂)
PはパロディのP。P-BOY達は可愛らしくも、堂々とした佇まいで挑戦的。偽物として作られた彼らは一生本物になれることはない。それでも本物に近づこうと、本物と同じように人々を楽しませようと、私たちの前に現れる。
吉賀伸 教授 評
テレビやアニメで親しまれているキャラクターたち。昭和や平成に生まれて、今でも皆がよく知っているレトロなキャラクターが元ネタだ。独特なセンスによって選抜され、大きさを揃えられ、デフォルメされて現れた。何とも言えない愛くるしさでこちらを見ている。こちらとは我々人間の世界のことで、キャラクターたちは自分たちが暮らす世界がまた別にあるのだと主張している。彼らの仕草に着目すると、一体ずつに滑稽なストーリーが浮かんできて、些細な笑いを提供してくれる。ホビーとアートを高い造形力で結束させた、ユーモア溢れる傑作である。
コミカルな作品をものすごい速さで作り出す佐藤くんだが、ある時期、迷い悩んで1年間ほど手を止めていたことがあった。今思えば「作ること」と真剣に向き合えた貴重な時間でもあったはずだ。その後の彼は吹っ切れたように制作に打ち込み、見事に自分の表現を開花させていった。これからも飽くなき創造意欲を持ち続け、自信を持って、人々を楽しませる作品をたくさん生み出してもらいたい。