[優秀賞]
赤川未緒梨|書器屋
新潟県出身
藤田寿人?渡邉吉太ゼミ
書籍
絵本や小説、漫画本、教科書など、世には多くの書物が存在しています。人生の中で1ページはめくるであろう、親しみある書物をパルプ成形と呼ばれる技法で器の形にし、” 書器 ”という新しいモノとして価値を与えました。この書器は手に取る人の記憶に触れることができ、それぞれの過去を連想させます。ぜひ、この書器で想いを馳せてみてはいかがですか?
藤田寿人 教授 評
パルプ成形品は、パッケージや緩衝材として広く利用されている身近なものですが、この作品の面白いところは原料に書籍を用いたことにあります。この作品を手にすることで書籍を読んだ時の感動や景色が呼び覚まされることから、これは記憶に形を与えたプロダクトといえるのではないでしょうか。
自分を出すのが苦手な赤川さんにとって、作品に添えられたポエティックなタイトルを考えるというのが、実は最大のハードルだったのではないかと思います。自分の殻を破ってよく頑張りました。おめでとう!
渡邉吉太 准教授 評
見た者を一瞬で「いつかのあの場所」へ連れていける魔法が、赤川さんの作品にかかっています。記憶や思い出などのかたちのないものごとを、見て触れる造形物に作り変えた、プロダクトデザインの可能性を大きく拡張した作品です。機能性や便利さだけがデザインではなく、ひとの琴線に触れることも大切な使命であることがよく伝わります。
持ち前の繊細な感性と独自の世界観で、世界をさらに美しくしてくれることを期待します。