スマホがなくても歩けるまちづくり -わかりやすい都市構造によるバリアフリーな街を考える-
秋田花菜
山形県出身
吉田朗ゼミ
スマホがあればまちを記憶しなくてもよくなった今、街の変化に気づく人はどれだけいるのだろうか。もし、スマホが使えない状況になったときや、高齢者などのデジタル弱者は、スマホに頼らずとも暮らしていかなくてはならない。そこで、わかりやすい都市構造となれば、誰もが安心して暮らせるバリアフリーな街のままになるのではないかと考えた。
本研究は、1960年にケヴィン?リンチが研究した「都市のイメージ」を参考に、山形市を対象に都市はどのような要素から構成されているのかをイメージマップ調査(図1)等により検討を行った。
リンチの研究により、人々が抱く都市のイメージを構成しているのはパス(道路)、エッジ(縁)、ディストリクト(地域)、ノード(結節点)、そしてランドマーク(土地の目印)の5つであることがわかった。本研究では、これらの5つの要素に加えて新たにファミリア(familiarity:身近なもの)、ヴィスタ (vista:遠景)2つのイメージ要素を提唱する。
目印となる要素は、多くの人から認識されるメジャーなランドマークの他に、スーパーやコンビニなどの日常生活で多く利用する場所であることが分かった。このような場所を新たにファミリア(身近なもの)として提唱する。また、山や河川、海など自然要素を見つけやすいことが、わかりやすい都市として認識される要因であると指摘する。これらが見つけやすいヴィスタの形成が重要であると考える。
以上の研究結果より、ファミリアもメジャーな場所として認識される小さな領域での地域形成が重要であると考える。なぜなら、大きな街の中ではマイナーエレメントであったファミリアも、小さな街の中ではメジャーな場所として認識されるからである。このような小さな生活圏でまとまったまちづくりをすることで、スマホに頼らずともわかりやすいより生活に密着した街になると考える。歩くスピードではファミリアも自然に記憶されていく。小さな生活圏でまとめられた街となれば、自然と車は必要なくなり、現状の車社会から歩ける街になる。そうなれば、デジタル弱者だけでなく交通弱者も暮らしやすい街になると考える。