[優秀賞]
齋藤優有|長文堂レンタル
山形県出身
松村茂ゼミ
地元の伝統工芸品である山形鋳物の鉄瓶を、若い人や興味のある人たちにもっと触れてもらうため、1ヶ月間鉄瓶を試す“体験”を工房から直接お届けするレンタルサービスを企画。鉄瓶に対するハードルを下げ、使うことでわかる魅力や価値を実感してもらえる機会をつくりました。1000年の伝統を受け継ぐ工房、長文堂さんのご協力の元、つくり手と将来のつかい手をつなげるビジネスモデルを提案実施しました。
松村茂 教授 評
生産者が消費者に直接販売しアフターフォローできるICT時代、各地の伝統産業は再生のチャンスを迎えている。この卒業研究?制作は山形の伝統産業である鋳物を実験対象にサブスクリプションを前提としたお試し販売手法を提案したものである。
使い捨ての大量生産大量消費時代においていわゆる伝統工芸と呼ばれる産業は強固なサプライチェーンの中にあり商品開発販売は難しい状況にあった。特に高額でかつ使うことでその味わいが伝えられる伝統産業の商品においては、高額なモノを『体験』してもらう方法が求められていた。ICTは生産者自ら消費者と繋がり新たな商品開発を可能する新しい時代を開いた。
齋藤優有の卒業研究?制作は、単にシステムとしての提案ではなく、サブスクリプションの持つ訴求力を活用しながら、サブスクリプションに欠かせない職人と消費者が長くコミュニケーションを続けられる仕組み(関係性)を構築し、消費者を購入に導く新しいビジネスに創り上げた。これまでにない『伝統産業型サブスクリプション購入モデル』とも名付けられるもので、伝統産業再生の新たな道を示すとともに有益なノウハウとなっている。